『野球少女』(映画)【レビュー】

作品概要

「梨泰院クラス」で、大ブレイクを果たしたイ・ジュヨンは、一昨年の第23回釜山国際映画祭で今年の俳優賞に輝いた演技派。本作で第45回ソウル独立映画祭 独立スター賞、第19回ニューヨーク・アジアン映画祭 国際ライジングスター賞を受賞し、韓国で最も権威のある映画賞、青龍映画賞で新人女優賞にノミネートされるなど高い評価を得た。また、先日行われた2020アジアアーティストアワードではアイコン賞を受賞するなど、その躍進劇は止まらず、まさに韓国エンタメ界のアイコンとして今最も旬な女優だ。
そんなイ・ジュヨンが今回演じたのは、最高球速134キロを誇りプロ野球選手を目指す〈天才野球少女〉!モデルとなった実在の選手の努力と葛藤に迫るため、イ・ジュヨンは40日間のトレーニングを受け、すべてのシーンをスタントなしで演じきった。
新世代スターを支える共演者には、「秘密の森」のイ・ジュニョク、「椿の花咲く頃」のヨム・ヘランなど、第4次韓流ブームを盛り上げてきた個性派俳優たちが名を連ねる。
理不尽な逆境を突きつけられるスインに、魂の底から湧き上がる熱いエールを送らずにはいられない。スインへのエールが、ラストシーンでスインから私たちへの特別なエールへと変わる。彼女から受け取った〈諦めない心〉と〈夢を追いかける勇気〉が前へと進ませてくれる、新たな傑作青春映画が誕生した。

公式HPより

感じたこと

・夢に進み続ける勇気ある人のお話

・ジェンダーの問題は気づかないうちに内面化されてる…がゆえに難題な面がある

夢に進みづづける勇気のある人と、その勇気ある人を支え続ける信念ある人々のお話だなと感じ、心に染み入るものがありました。

まず、野球の実演も含めスタントなしで主人公スインを演じたイ・ジュヨンが素晴らしかったです。そして彼女は劇中ほとんどのシーンで苦虫を噛み潰したような、苦しい表情の連続ですが、たまに見せるパッとした明るい笑顔が、とても印象に残り魅力的でした。

また、「野球少女」というタイトルが秀逸だと思いました。「野球少年」という言葉に対してはさして違和感がないのに、「野球少女」ときくと途端に違和感を感じてしまう、これは知らず知らずのうちに、自分の中に野球は男性が行うものだという固定観念があるのだと気づかされました。

しかし、よくよく考えてみると、他の言葉でも女性管理職、女性トラックドライバー、女医さんや女社長なども職業名に、わざわざ女性であることを付け加えてて、言葉としては変ですよね。
逆に男性管理職や、男トラックドライバー、男医さんや男社長なんて、それが社会では当たり前だと思われているため、あえて言語化しませんよね。このような言葉一つとってみても、ジェンダーの問題は常に身近に(しかも堂々と!)存在しているんだけれどもそれに中々気づけない自分たちなんだなと、この映画を観て気づかされました。

目には見えない差別を示す言葉として「ガラスの天井」という表現があります。
例えば、日本の労働市場内では、一見公平な人事考課や業績評価がなされた上で、昇進や管理職への任用が決定されているように思われていますが、実際には「女性だから」という理由のみで、中核的な役割が与えられず周辺的な労働に甘んじざるをえない女性たちは沢山います。
労働市場に限らす、社会の様々なところで、未だ「ガラスの天井」は分厚く存在し続けていますが、この映画が示すように、この分厚い「ガラスの天井」を打ち破っていくのは「女性」や「男性」という価値観を超越した人たちなのではないでしょうか。

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